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【男女脳の違い】男性がなかなか「愛してる」と言えない理由

黒川伊保子

よくある男女のすれ違いやケンカの原因を、「男女脳の違い」から解き明かす本連載「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?」。女性が理解できない男性の行動について、人工知能研究者であり、脳科学コメンテーターの黒川イホコ先生が解説&アドバイスします!

最後に彼から「好きだよ」「愛してる」と言わたのはいつですか? ほとんどの女性が随分前なのではないでしょうか? なかには言われたことがなくて悲しい気持ちになっている人もいるかもしれません。しかし女性とちがって男性はなかなか感情を言葉にしないのを知っていますか?

今回は、「男性がなかなか『愛してる』とい言えない理由」について、黒川イホコ先生にお聞きしました。

イホコ先生の解説

●男性脳は、気持ちをうまく言葉にできない

男性脳は、右左脳の連携頻度が低く、感じる領域(右脳)の出来事が言葉の領域(左脳)につながりにくいため、自分の体調や気持ちを女性脳のように微細に自覚し、言葉にすることができません。客観的な評価は得意なのですが、主観的な感覚を言葉にすることが苦手。苦手というより、「主観的な感覚を言葉にすること」なんて、思いもよらない男性も多くいます。

息子が小学生の時でした。クラスの一部の女子の間でいじめ問題が起こり、PTAでも話題になりました。そこでわが家に遊びに来ていた男子たちに「あなたたち、どう思った?」と聞いてみたところ、彼らの答えはきっぱり、「悪いことだと思った」というもの。

彼らの気持ちについて聞きたかった私が、「そうじゃないの。気持ちを聞いてるの。どんな気持ちだった?」と聞き返すと、きょとんと不思議そうにしてから「だから、悪いことだと思った」「そうそう」と答えました。

いっぽう同じ質問を女子にすると、「悲しかったよ」「いやだった」「いじめたほうの気持ちも、わからなくもない。○○ちゃん大げさなんだもん」と、それぞれに気持ちを口にしてくれました。

男子たちに「悲しかった?」と聞いても、「ん~、っていうかさ、いけないことだろ。だから、イラっとはしたけど」という感じの答えでした。

男性は、気持ちをなかなか自覚できないのですが、彼女の笑顔にキュンとしたり、握った手の柔らかさにほっとしたり、手料理を作ってくれる台所の気配にほのぼのしたりなど、そういった情動はちゃんとあります。

しかしそんな情動が起こる瞬間、女性脳には「好き」という言葉が降りてくるのに対し、男性脳には降りてこないのです。ただ、キュンとして、まぶしいだけ。女は気持ちがすぐに言葉になるので、「気持ちのあかし」として言葉を欲しがりますが、言葉がないからといって気持ちがないわけじゃないのが、男性脳のおもしろいところです。

「好き」と言わないからといって、男性には「きゅん」「ほっ」「ほのぼの」「しみじみ」といった情動がないわけじゃない。そう思うと、彼が「好き」と言ってくれないことのストレス、少し減りませんか?

●男の愛は、繰り返し

では、どうやって彼の愛を測ればいいの? ……そんな声が聞こえてくるような気がします。

男性脳の思慕は、「愛」というより「愛着」のかたちをとります。繰り返し果たしてくれている責務があれば、愛着が続いている証拠。それをもって愛とするのが、寂しいかもしれないですが、「正解」なのです。

そもそも男性脳は、責務遂行が大好き。期待された責務を果たした時の快感は大きく、責務を果たした相手に愛着を感じます。おじさまたちの、責務を果たし続けてきた会社に対する愛着は、半端ないでしょう?

毎日家に帰り、毎週決まった日にごみを捨ててやり、毎月お給料を入れ……そんなふうに責務を果たし続けている家族に対する愛着は格別です。しかもその愛着は、責務を果たした回数だけ強くなります。

「美しいから心惹かれる」はあっても、「美しいから愛する」という感覚は男性脳にはありません。俺がいないと生きていけないから愛着がある、という愛し方をするのです。

●あなたがいないと生きていけない

だから、愛する人には、責務を与えてください。定番のわかりやすい責務。しかも、「それがなければ彼女は生きていけない」と思えるようなものが最高。電球が変えられない、テレビの予約録画ができない、何かの決断ができない、なんてささいなことでも大丈夫。ただし、いったん彼を頼りにしたことは、自分でしては×です。

あなたがいないと生きていけない。そんな何かをしっかり決めて、彼を頼りにすること。そうして、責務遂行が度重なれば、男性脳は愛着を強めていきます。よそで、ほかの女性に気を惹かれることがあっても、「俺があれをやってやらなかったら、あいつ、どうやって生きていくんだろう」と気になって帰ってくるに違いありません。

そういう「愛着」と「誠意」こそが、男性脳に降り積もる愛なのです。女性脳が思う、「何があっても、命がけで君を愛する」「僕たちは運命の2人、絶対に手を離さない」といったロマンティックなものではありませんが、それはそれ。長年の愛着のある妻に先立たれたら、多くの男性があまり長生きせずに死んでいくのですから、まぁこれが「命がけの愛」なのかもしれません。

●「とほほ」を楽しめる女になろう

男の愛は、どこか滑稽で愚直。だけど誠実の繰り返し。女の欲しい言葉は、とんとくれないのだけれど、そんなものだとわかれば、その不器用さが案外愛しいと思えるものですよ。

すべての女性が、パートナーに多かれ少なかれ「とほほ」な気持ちをかかえているもの。結局、男性脳と女性脳の違いを楽しめる女が勝ちです。この連載で学んだことを手に、一枚上手の女になって、男性脳を楽しんじゃってください。どうか、おしあわせに!

<女性がとるべき行動>
・男性脳は、気持ちをうまく言葉にできないだけ! あなたの欲しい言葉をくれなくても落ち込まない
・何か1つでも「彼がいないと生きていけない」ことをつくり、彼に頼ろう

<NG行動>
・なんでもかんでも自分1人でこなし、彼の助けを必要としない
・彼の愛を、愛の言葉で図ろうとする

(文/黒川伊保子 イラスト/地獄カレー)

今回を持ちまして「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?~男女脳はこんなに違う~」は最終回となります。 今までご愛読いただきましてありがとうございました! 恋愛は、「男女の違い」を楽しんだものがち! ぜひ連載で学んだことを生かしてくださいね♪

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※この記事は2016年07月18日に公開されたものです

黒川伊保子

脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。「市場の気分」を読み解く感性マーケティングの実践者であり、「男女脳の気分」を読み解く男女脳論の専門家、「ことばが脳にもたらす気分」を読み解く語感分析の専門家でもある。人工知能(AI)エンジニアを経て、2003年、世界初の語感分析法サブリミナル・インプレッション導出法を発表、独自の感性分析術が注目を浴び、感性研究の第一人者となる。

脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著書が人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、フジテレビ「さんまのホンマでっか!? TV」など、TVやラジオ、雑誌で活躍。

近著に「恋愛脳」、「キレる女 懲りない男」、「英雄の書」などがある。

株式会社感性リサーチ
http://www.kansei-research.com/

オフィシャルサイト
http://www.ihoko.com/

『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書) 著書コメント:「女性脳のトリセツ完全版。彼氏に「私のトリセツ」と贈ってほしい。きっと優しくなります」

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