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栗原康著・伊藤野枝の評伝、異例の「重版出来」! アラサー女性中心に共感

3月下旬に岩波書店から発売された、気鋭の政治学者・栗原康さんによる『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』の売れゆきが好調だ。今から約100年前に「習俗打破」を掲げ、「空気なんて読まない」で自らの生を突っ走った女性・伊藤野枝(1895~1923)の一生を描いた評伝で、発売から1ケ月たちすでに3刷を重ね、販売部数は1万部に到達。岩波書店の渡部朝香さんによると「評伝としては異例の売れ行き」で30代の女性を中心に売れているという。

 

 

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』は、東北芸術工科大学非常勤講師で、アナキズム研究を専門とする栗原さんが、アナキストの大杉栄の内縁の妻でウーマンリブの元祖とも言われる伊藤野枝についてつづった評伝。恋に、性に、生きることに貪欲にわがままに突っ走った伊藤野枝の一生を、栗原さん独特の文体でテンポよく描き出している。

都内の書店でも同書に関するフェアを実施している。紀伊國屋書店新宿本店(東京都新宿区)では、発売直後の4月から「信じぬく女たち」と題してブックフェアを開催。フェアを担当した梅崎実奈さんは「一つのテーマを強固に貫く野枝の生き方に共感した。30、40代の女性が手に取っている。結婚制度や家族制度に違和感を覚えている世代の女性が気になるのではないでしょうか。読者に確実に届いているのを感じます」と手応えを語る。フェアの好評を受けて、フェアを5月まで継続する予定という。

また、東京都武蔵野市の「ブックス ルーエ」でも「ザ・グレートアナーキー」と題してフェアを開催。担当の花本武さんは「先が見えない不安定な時代にあって、野枝のような力強い生き方に惹かれる人が多いのでは。野枝の生き方は自由でラディカルでクール。“こういう生き方もあるよ”という新たな生き方を提示しているのでは?」と好調の理由を分析。20代の若い層やサブカル層にも売れているといい「評伝がこういう売れ方をするのは珍しいですね」とコメントしている。

同書に関するイベントやトークショーも各地で開催されており、渡部さんは「仕事、恋、結婚、子育てに悩む女性たちに手にとっていただけていることを、うれしく思います」と話している。

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