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第41話 白銀の世界へ

「寒いから中にいなよ」慎也はそう言うけれど、
タイヤにチェーンを巻く時は、わたしも車を降りた。

車を脇に寄せ、すばやくチェーンを巻きつけて、
中に戻る慎也を見ると、頼もしいなと思う。
何もできないわたしはいつもと同じように、
ダッシュボードから粒ガムを取り出すと、
包みをむいて、彼の口に放り込んだ。

そして、古い文学作品にあったように、
トンネルを抜けると、そこは一面の銀世界だ。
真っ白な雪を見ると、心が洗われる。

ギクシャクしている職場のことは、
昨日に置き去りにして、
今はこの慎也といっしょの貴重な時間を楽しもう。

スキー場が近づくにつれ、車の中にいても、
足元がしんしんと冷えてくる。
後部座席から膝掛けをとりだしてかけると、
とろりと眠気に襲われた。

「瑞葉は、寝ちゃいな」と彼は言うけれど、
ふたりの時間がもったいなくて、
わたしもガムを口に入れ
「寝ないよーだ」と、慎也に口答えをした。

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