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30年後の“元オリーブ少女”へ! 淀川美代子編集長に聞く、新生『クウネル』

2003年の創刊以来、初めてリニューアルしたマガジンハウスのライフスタイル誌『ku:nel(クウネル)』3月号が1月20日、発売されました。リニューアル後のターゲットは、50代以上の女性。「昔のオリーブ少女にも読んでほしい」と話す編集長の淀川美代子さんに話を聞きました。

2003年の創刊以来、初めてリニューアルされた『クウネル』3月号

ターゲットは50代以上の女性

『クウネル』は、2003年に創刊した「ストーリーのあるモノと暮らし」をコンセプトにしたライフスタイル誌。リニューアルにあたり、テーマを「かわいいものに、トキメキたい」に刷新。50代以上の女性に向けて、ファッション、ビューティ、インテリア、料理、旅行などの情報を提供していくと言います。

編集長就任の経緯については「50代以上の女性がターゲットの雑誌だから、編集長は“おばさん”がいいと(会社側は)思ったんじゃないですか?」とジョーク交じりに話す淀川さん。「昔『オリーブ』を読んでいたけれど、大人になってあまり雑誌を読まなくなった人が『久々に雑誌を見てみようかな』という気持ちになるような雑誌を目指したいですね」と意気込みました。

「オリーブ少女」とは、1982年に平凡出版(現マガジンハウス)から創刊され、03年に休刊した女性誌『オリーブ』を愛読していた読者を指します。1985年から87年まで3代目『オリーブ』編集長を務め、80年代の『オリーブ』の全盛期を築いた淀川さんは「いまだに『オリーブ』が支持されているのが不思議」と驚きを隠せない一方で、「『オリーブを読んでいた』『元オリーブ少女です』とよく言われますが、そんなふうに言われるのは雑誌の歴史に残ることだと思う。雑誌文化のひとつの象徴ですね」と話しました。

「ときめく」雑誌に

『オリーブ』だけではなく『anan(アンアン)』『GINZA(ギンザ)』の編集長を歴任し、『アンアン』を80万部以上を売り上げる人気雑誌へと成長させるなど、各誌の黄金時代を築いてきた淀川さんですが、プレッシャーは隠せない様子で「先日、(『BRUTUS』などを創刊した編集者の)石川次郎さんにお会いしたときに『美代子は何度も修羅場をくぐっているだろう』と言われましたけれど、すごくプレッシャーは大きいです」と明かしました。

それでも「50歳以上の女性が雑誌を見て『久々にときめくわ』と言ってくれるような雑誌にしたい。もちろん懐かしさだけではなく新しいことも取り入れて。新しいことは手探りで探していきたいですね」と前向きに語りました。

リニューアル号はフランス女性にスポット

リニューアル号では、「フランス女性の生活の知恵」と題し、フランス人女性の生き方を通して「幸せ」について考える特集を掲載。淀川さんは「フランス女性5人に自分の人生を語ってもらいました。フランスの人って建前ではなく本音でいろいろ正直に語ってもらえるので、読んでいておもしろいんです。フランスの女性は人生を楽しんでいる。日本の女性は自分の年齢を感じすぎているのではないかな。今は自分の年齢は“7掛け”で考えていいと思う。50歳だったら35歳、60歳だったら42歳というように。そういう感覚で人生を過ごしたら楽しいのではないかな」と話しました。

そのほか、料理研究家のコウケンテツさんの韓国料理を特集。淀川さんによると「50代の女性にも人気がある男性にお願いしました」ということです。連載では、作家の吉本ばななさんや、雑誌『暮しの手帖』(暮しの手帖社)元編集長の松浦弥太郎さんのエッセイも掲載される予定です。

今度は『クウネル』でときめいて

世の中では、雑誌が次々と休刊し、媒体そのものも紙からウェブへと移行していく流れも見られますが、淀川さんは「新しい世界を取り入れていかないと時代に乗り遅れる。みんなが新しいことを取り入れていくことについてはすごくよいことだと思います」とその流れを肯定した上で「今の50代、60代は雑誌世代。(雑誌に)新しい何かを求めているのではないでしょうか」と話しました。

ターゲットは50代以上の女性ですが、淀川さんは「昔のオリーブ少女にもまた読んでほしい。『オリーブ』でときめいたみたいに、『クウネル』でときめいてほしいと思って作っておりますのでお楽しみに」とメッセージを送りました。

 

淀川美代子さんプロフィール

1985年より87年まで3代目『オリーブ』編集長を務める。 『オリーブ』の、女の子の「かわいい」という感覚を軸としたイメージを作り、ガーリーなコンセプトを確立させ、80年代の『オリーブ』の全盛期を作り上げた。その後、『アンアン』『ギンザ』の編集長を歴任。98年『ギンザ』編集長に就任し、 2006年エグゼクティブ アドバイザー職となる。 2010年マガジンハウスを退職し、現在、フリーランスとして編集活動を続ける。

(堀池沙知子/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2016年01月20日に公開されたものです

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