マタハラにも発展!? 「育休・産休」を取り巻く職場仲間の胸のうち【後編】
働く女性にとって気になる話題やトレンドワードをピックアップ。男女心理の専門家である五百田達成氏が、ユーザーのリアルな声とともにひもときます!
前編では、産休や育休を取るためには「制度」だけでなく「雰囲気」も大きくものをいう事実にスポットを当てました。では、産休や育休を取ろうとする本人を、職場の仲間はどのように見ているのでしょうか?
周囲は複雑な気持ち
「産休・育休を取る女性に対して思うことを具体的に教えてください」「育休明けにすぐ妊娠し産休をとる女性に対して、どう思いますか? あなたの考えを教えてください」というアンケートに対して、
・「同じ働く女性として応援したいです。仕事内容に制限などはありますが、仕方ないことだと思います」(32歳/その他/クリエイティブ職)
・「どんどん取得して、取得しやすい雰囲気を一緒に作っていきたいと思う」(30歳/機械・精密機器/事務系専門職)
・「めでたいことですので、遠慮せずにどんどん取ってください」(31歳/その他/その他)
というポジティブな意見はあるものの、
・「1人目で休んで、すぐに2人目で休むのはやめてほしい」(28歳/アパレル・繊維/販売職・サービス系)
・「産休や育休で被害を被った立場からすると、子どもを産むなら仕事を辞めてもらったほうが迷惑をかけないという意味では一番ありがたいです」(22歳/医療・福祉/専門職)
・「幸せが続いてるなあ、とまずは思うけれども、それで仕事が大変になると、辞めたらいいのに、と思ってしまうと思う」(25歳/その他/その他)
・「友人目線ではおめでたいと思うが、職場としては迷惑だと思ってしまうと思う」(23歳/マスコミ・広告/クリエイティブ職)
・「何年も仕事に出てこないようなら会社も処遇を考えるべき」(27歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
と厳しい意見も。祝福したいし、立派とも思うけれど、現実問題、仕事のしわ寄せを食らうのは避けたいという微妙な気持ちが見え隠れします。
マタハラにも発展?
こうした気持ちがエスカレートすると「マタハラ(マタニティー・ハラスメント)」にもつながります。
「職場で、「マタニティー・ハラスメント」(妊娠・出産した女性への嫌がらせ)を見たり、聞いたり、実際に体験したことがあれば、具体的なエピソードを教えて下さい」というアンケートには、
・「妊娠中、体調が悪くて休みがちだった人に、男性社員が『辞めちまえ』と言った」(31歳/建設・土木/事務系専門職)
・「育休産休を繰り返している女性から聞いたが、一時期、一部の男性社員から給料泥棒と陰口を言われていたらしい」(30歳/医療・福祉/専門職)
・「友人は人事に呼び出されて辞めるように勧告されました」(27歳/金融・証券/秘書・アシスタント職)
・「育児短時間勤務をするには役職を自発的におりるという旨の念書を取られるらしい」(33歳/運輸・倉庫/事務系専門職)
といった、シビアなエピソードが寄せられています。
過渡期ならではの現象
ちなみに、男性ユーザーを対象に「あなたは、育休を取りたいと思いますか?」というアンケートも同時に実施したところ、「思う」55.3%、「思わない」44.7%という結果に。
前編のアンケート結果も含めて、育休や産休を巡るアンケートがこのように「ほぼ半々」の結果になるのは、実に興味深いことです。
数年前であれば「取れない」「取らない」が過半数だったでしょうし、逆に数年後であれば「取りやすい」「取る」意見がさらに増えるはず。そうやって次第に「常識」や「雰囲気」は作られていきます。
現在はまさにその過渡期ということ。だからこそ、制度はあっても実態が伴ってなかったり、微妙な気持ちを抱える人がいたり、ひどいマタハラが横行したりする、というわけです。
現在の自分たちのためにも、また、未来の日本のためにも、風通しのいい、自由に意見を言い合える雰囲気作りを心がけたいものです。
(作家・心理カウンセラー:五百田達成)
※画像は本文と関係ありません
※『マイナビウーマン』にて2015年3月にWebアンケート。有効回答数280件(22歳~34歳の働く女性)
※マイナビウーマン調べ(2015年3月にWebアンケート。有効回答数123件。22歳~39歳の社会人男性)
※この記事は2015年05月02日に公開されたものです