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もてないキャラはもう卒業! 光浦靖子流「ポジティブで明るく強い私になる方法」【彼女たちのLOVE & CAREER vol.3】

松本玲子

メガネとトップスの色合わせがステキです☆

最近、光浦さんがキレイになったと評判だ。もともと「隠れスタイル美人」との噂はあったが、ここのところ、スタイルどうのという以前に美しいのだ。いざ対面するとまるで菩薩のようなオーラ。一体どんな境地に達したらそんなやさしい表情になるのか。秘密に迫ってみた。

●自分にとって世の中で一番恥ずかしいことがお笑いだった

――いきなりですが、光浦さんはいつから芸人さんを目指してらしたんですか?

全然目指してなかったです。人とも上手にしゃべれなくて大学留年しまくってて、バイトもクビになりまくってて、私って本当に人としてダメだと思って、ショック療法として世の中で一番恥ずかしいことをしようと思ったんですよ。ネタ作って漫才するっていうとんでもないショック療法。急に、「今これをやらなければダメだ!」って思って。

お笑いは好きで見てたんですけど、ほんとはお笑いのスタッフになりたかったんですね。それで大久保さんとふたりで「スタッフになりたい」って芸人さんとこに言いに行ったら「ブスはなれないよ。ちょっとでもかわいい子を選ぶに決まってんだろ」って言われたんです。(相談した相手は)芸人さんなんではっきり言うもんでね~。「芸人さんの近く行きたいなら演者として出てこい」って。それで、ああそうか、私は人間としてダメ過ぎるからちょっとがんばってみるかと思ってネタ見せに行ったのがきっかけで今に至ってます。

――就職活動は全然しなかったんですか?

まったくやってないですね。私が学生のころ氷河期がやってきたんですね。そしたらね、周りの友だちとか面接受けた人が教えてくれたんですけどね、とっても冷たいんですって面接官が。すんごいきついこと言われたりするって。それで、そりゃ大変だ! おはようございますも言えない自分は絶対に受かるわけないと思って。社会に出たくないっていう気持ちもいっぱいあったし怖くって。

●10代のころ、東京は夢の町だった

――内向的な性格だったんですか?

子どものころからおとなしくてマイペースでしたね。家の中でも外でもままごとしてて、小学校の休み時間は一人で塗り絵したりウサギ小屋にいって草むしってウサギに食べさせたり。自由気ままに生きてましたね。

――その後、進学して東京に出てらっしゃることになるわけですが、結構勉強もがんばったんですか?

とにかく東京に行くのが夢で、10代のころは東京に行けばすべてが叶うと思ってたんです。若さですよねそれが。なんの根拠もないし、将来何になりたいとかなんにもなかったけど、とにかく東京に行けばすべてが叶う夢の町だと思ってましたね。それで東京に出る手段が大学の進学しかないって親に言われて、是が非でも東京の大学に入りたいと思って勉強しましたね。

でも、入学から卒業までは8年かかりました。親との条件だったんですよ。「こういう世界入って好きなことやっていいけど、そのかわり卒業証書だけは持って来い」って言われてたんで、8年かけてだらだらと(笑)

――学生時代はいい恋愛をしましたか?

他の大学の子と一回お付き合いできましたね、お友だちの紹介みたいな感じで。あんまりよろしい恋愛じゃなかったですけどね。恋に恋するみたいな感覚で。デートってなんだろう? って感じでした。その後、20代前半でこの世界に入って以降、「もてないキャラ」って感じになってきたんですけど、キャラ作ってたわけじゃなくて、事実を話してたらそういうイメージで見られるようになっていっただけなんですよね。

でもそうなると、そのイメージでお金稼いでるんだから裏でこっそり付き合うのは自分の器ではできないと思って、いっときは意識的に彼氏作らなかったんですね。作ったらカメラの前でニヤニヤニヤニヤしちゃうから絶対ばれると思って。もてないキャラでお金をもらうんなら、ちゃんと名実ともに「もてない」を貫きとおさなきゃって思って誰とも付き合わなかったんですよ。

それで30代になって、もう十分だろう、そろそろ人と付き合いたいなと思ったんですけど、もう付き合い方も分かんないし、男性との付き合う距離感が分かんなくなってて。自分はめっちゃ好きでデートに誘ってるんですけどだあれも手出してこないし告ってくれることもなくて、私ってそんなに底辺かしら? っていう10年を過ごして、で、40代に入って開き直りましたね。こっからは遊び倒す未来ですよ。

●もてるためにキレイになることに決めた

――だからキレイになったんですね(笑)

うん、キレイになることにしたんです。だってもてたいから。若いころは、「こんなぶさいくで変なこと言うけど、真の私を好きになってくれる人待ってんだー」みたいな偉そうなポジションで待ってたけど、やっぱ男の人ってキレイな人のほうが好きなんですよね。単純にキレイなほうがもてるし、ニコニコしたり笑顔でありがとうとか言うとそりゃもてるさ。

それを「何様だ?」って感じでやらない私のスタンス分かってる? みたいな感じでいたら、「愛想のないブス」っていうレッテルがぺたっと貼られただけだったんで、やっぱ迎合してなびいていこうって心を入れ替えまして。ここ最近はとにかく美しくなりたいなと。

――美しくなるために努力してることは?

ほんとフツーですよ。ブスじゃない方向にいきたいというだけですね。ちゃんとキレイにしてお化粧して飲みに行くとか、スカート履くと、ヒールの靴履くとか、そういうことをやっと遅咲きで始めました。

そうすると意外と評判がいいんですよね。一昔前は太ってた時期もあったしカリカリしてたころもあったから、テレビ観てそういうイメージ抱いてた人は「テレビで観るよりかわいいんですね」って。

●紹介されたらとりあえず会ってみる!

――年齢を重ねて、恋愛観も変わりましたか?

だいぶ変わりましたね。相変わらず男前は好きだけど、やっぱおおらかで明るい人がいいなって思うようになりました。気になる人は具体的にはまだいないですけど、いい物件がございますよっていう話がちらほら出始めたんでね。「ご紹介したい人がいます」みたいな話が何件かパタパタ続いてて。そろそろ星の巡り的にもいけるんじゃないかなっていう風は感じてますね。

紹介するよって言われても昔だったら「そんなのいいよ~」とか「向こうから来てほしい」とかしょーもないこと言ってましたけど、自分がやってきたことはすべてダメなお手本だと思って、これからは、過去に自分がやってこなかったことをやろうと、「すぐ会う、絶対会う、まず会う」ってのに切り替えました。

――とりあえず会えば友だちの輪も広がりますしね。

そうなんです! ダメだった場合は向こうの出しとる波長も感じますよね。「あ、この人あんまし私のこと好きじゃないな」とか「恋愛対象じゃないな」とか。だったらそこは仲良くお友だちになって、今度はその人のお友だちをまた紹介してもらうっていう。そしたらエンドレス紹介でどっかに現れるんじゃないかなっていう。

――男女問わずお友だちは多そうですよね! 新刊の『お前より私のほうが繊細だぞ』でもいろんな人の悩みに答えてますし、実生活でも人の相談に乗ることが多いのでは?

まったくないです。人生経験も恋愛経験もないから修羅場とか経験したことないもんで。お笑い界のゴシップとかいっぱいあるでしょ? でもゴシップは私んとこの家に回覧板が回ってこないんですよね。私だけ孤立してる感じ。ほんとに全然回ってこないですね。

こっちが相談することはあったかもしれませんね、仕事とか人間関係とか。でも悩んだところで悪い想像しかできないんだから、もう悩むのや~めた! と思うようになりました。

光浦さんの新刊『お前より私のほうが繊細だぞ』(幻冬舎文庫)

――気持ちを切り替えるコツはありますか?

自分に期待しなくなりました。若いころは、みんながこれだけおもしろいんだから自分もがんばんなきゃとか思ってましたけど、あるときふと気付いたんです。人には、実力とは違う「人間のパワー」みたいのがあるんじゃないかって。特にタレントさんからはそれを感じることが多いんですけど、例えば、「人間のパワー」が強い人とそうじゃない人が、用意された同じ文章を読んだ場合、前者のほうが笑いを取れたりお客さんの共感を得られたり、好感度があがったりするんです。

で、いろいろ考えた結果、「人間力」っていうのは本人の努力でそうそう変わらないんでは? と自分の中で結論が出まして、自分はそんなに人間力ないから40点取れたら万々歳だぞって思うようになったら楽ちんになりましたね。だって、そうやって気楽に考えてるほうが楽しいですよね? 老い先短いしさ、好きな人たちと飲んで、旅行して、遊んで…そういうことをいっぱいやっていかないと時間がもったいないと思って。

――すべての受け答えがポジティブですね! 話してるとこちらも元気になれます☆

本当? じゃあいいほうに方向転換してるんだな! 最近ネガティブな人が世の中多くなってきたんで、ポジティブになろうと思って。根暗な人が多いと明るい人のほうがおもしろくないですか? なんでそんなノー天気なん? とか。でも私も本当はすっごい暗いもんで「嘘明るい」だけど。でも自分でそう思いこんでると自分で騙されるときありますよね。

強い人。強い人になりたいな。なんやかんや言われても「べえーーー(と舌を出すポーズ)」ってやれる強さが。ポジションとか気にせず、なにがあっても「こんなもんこんなもん」って。おばあちゃんが何貰っても「上等上等」っていうあの精神を忘れずにね。

――最後に今後の目標を聞きたいです!

「誰に習ったの?」って言われるような癖のある英語をネイティブ並みに話せる人になりたいです。今、私、明るく強い人になりたいから、できれば黒人寄りの発音の英語がいいですね。そういうの私がしゃべってたらおもしろいと思うんですよね。えっ? 黒人と付き合ってたの? 癖あるよね英語に?? って。そういうのをさらっとできるおもしろいおばさんになりたいです。

英語しゃべれる人が「黒人と付き合ってたよね?」ってすぐ気付いて口に出したいけど出せないみたいな。周りをざわつかせるみたいなことをやりたいですね。

【光浦靖子Profile】
タレント。お笑い芸人。大久保佳代子とのコンビ「オアシズ」として活動する他、女優やエッセイストとしても光る才能を発揮。現在の主なレギュラー番組は「めちゃ2イケてるッ!」(フジテレビ)「ベーシック国語」(NHK)、「YOU×光浦 海外ドラマTALK」(WOWOW)など。主な著書に『傷なめクラブ』(幻冬舎)『世界で一番乙女な生き物』(宝島社)『男子がもらって困るブローチ集』『子供がもらって、そうでもないブローチ集』(SWITCHパブリッシング)など。また、2015年間の1年間、自作のブローチが『別冊 文藝春秋』(文藝春秋社)表紙を飾っていることをはじめ、特技の手芸での活動も幅広く展開中。

(松本玲子)

※この記事は2015年03月26日に公開されたものです

松本玲子

各種雑誌、書籍、web媒体で編集者・ライターとして活動する傍ら、TVCMナレーションやCMソング歌唱、音楽制作なども手掛けている。また、プログレッシブ・ロックバンドswaragaのボーカルとしても活動中。

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