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昔の人は意外と奔放?恋愛事情の今昔「江戸時代:離婚率が高かった」

自分は相手のことを思い、相手は自分のことを思ってくれる。これが恋愛の理想ですが、マナー講師の平松幹夫先生によれば「マナーの世界も同じ」とのこと。

【マナー違反!? 「今彼に聞かれたくない『元彼のこと』」】

平松先生は元ホテルマン。長年ブライダルの仕事に携わり、多くのカップルを見てきた経験から、「マナーの基本理念は『思いやりや感謝の気持ち』。恋人や伴侶という特別な人の存在を通じて、マナーにますます磨きがかかるのだと感じます」といいます。

また、恋愛とマナーの間には、とても深い関係があり、「恋を知ることは、マナーを知ること」ともいえそうです。

恋といえば、日本人は奥手だとよく言われますが、『源氏物語』などを読んでいると、昔の人はずいぶん奔放な恋愛を楽しんでいた様子がうかがえます。日本人の恋愛観は、時代とともにどのように変化してきたのでしょうか?

そこで平松先生に、昔と今の恋愛事情についてお聞きしました。

日本の恋愛事情は、実はとてもおおらか

「『万葉集』の歌は『雑歌(ぞうか)』『挽歌』『相聞歌』と3種類に分類されています。この『相聞歌』は、男と女の恋愛の歌。また、『源氏物語』は、藤原氏と源氏の政治闘争の物語であるとともに、恋愛小説でもあります。

このように、1000年も1200年も前に書かれた恋物語の特徴を一言で表現するとしたら、『おおらかさ』ではないかと思います」

江戸庶民は自由恋愛が基本

「最近何かと話題になることが多い『できちゃった婚』。現代ではマナー違反だといわれることもありますが、実は江戸時代にも『できちゃった婚』が結構多かったようです。定説では、江戸時代の恋愛は自由恋愛が基本だったとのこと。

相性の合う異性を求め、年ごろの男女はおおらかな恋愛を楽しんでいたようです」

武家階級の恋愛は「家」の存続のため

「江戸時代の庶民は自由恋愛を楽しんでいたようですが、武家階級となるとそうはいきません。とにかく『家』の存続が第一。そのために迎える妻が、婚前に自由恋愛を楽しんでいたのではたまりません。武家階級の娘たちは、相当厳格な環境にあったようです」

「白打掛」に見る武家の恋愛観

「江戸時代、とても厳格な環境に置かれていた武家の娘たち。その名残は、現在の結婚式でも花嫁が身につける『白打掛』に見ることができます。これこそまさに、『純潔』を象徴する衣装。ヨーロッパのウェディングドレスの感覚に似ていますね」

お見合いの歴史

「江戸時代から戦前にかけて、結婚の7割はお見合い結婚だったと言われています。庶民は比較的自由な恋愛を楽しんでいたようですが、武家階級、お金持ちの商人たちは、家の存続のために結婚相手をお見合いで選ぶようになります」

江戸時代のお見合い

「江戸時代のお見合いでは、現在のようにお茶や食事をしながら会話をするというスタイルではなく、世話人が選んだ場所に女性を連れて行き、それを男性が物陰から、顔立ち、スタイル、立ち居振る舞いなどを観察(見合う)します。

そして、男性が女性を気に入ったら、世話人に扇子を託す。その扇子を世話人が女性宅に届け、それを女性側が受け取れば、婚約成立という仕組みでした」

立ち居振る舞いの大切さ

「言葉を交わすことはなく、女性はただ男性から見られるだけという江戸時代のお見合い。現代ではまず考えられないスタイルですが、女性が『見られている』ことを意識するのは良いことです。足や手を組んだり、髪の毛を触ったりせず、姿勢を正して相手の目をしっかり見つめて話をする。

出会いの場所へ出かける際は、美しい立ち居振る舞いを心がけてみてください」

江戸時代の離婚率は今より高かった?

「江戸時代の離婚率は、現代よりも高かったそうです。夫は簡単に妻に離婚を切り出し、『三行半』を突きつけることができました。ただし、嫁入り時の妻の持参金は、離婚するなら夫から妻へ、すべて返さなくてはなりません。

持参金が返せなければ、離婚できない。もしかすると、妻の持参金には離婚防止のお守りのような意味があったのかもしれません」

明治になって恋愛事情が変化

「早い話、『男女七歳にして席を同じうせず』です。これは、座るところも寝るところも異なるということ。実はこの言葉はさらに『食を共にせず』と続きます。このように、明治時代になって新しい道徳観が生まれ、男女の仲は窮屈になりました。

自由恋愛、ましてや婚前交渉なんてありえない話となり、ほとんどが『お見合い結婚』という時代に……」

高度経済成長とともに再度広がる自由恋愛

「戦後の高度経済成長が進むにつれて『家制度』が崩壊。だんだんと、自由恋愛が当たり前という時代になっていきます。お見合いでも、結婚するかどうかの選択権は当事者に委ねられるようになりました」

そして現代へ……

「最近では『草食系男』『肉食系女』が増えていると聞きます。男性に口説かれるのを待っているのではなく、女性から男性を口説きにいくという傾向が目立ちはじめたということですね。一昔前なら『はしたない』といわれていたことも、今では当たり前になっている。

こうして、時代に合わせて恋愛のマナーも変わっていくのです」

堂々と自由恋愛ができる現代社会。しかし、「恋愛マニュアル」や「婚活」といった言葉に縛られて、かえって恋愛が窮屈なものになっているかも? 今回お話をうかがってみて、そう感じました。

非常に自由で、おおらかな恋愛を楽しんでいたという昔の人々。万葉集や源氏物語を読んで、当時の恋愛観を学んでみるのも良いかもしれません。

(OFFICE-SANGA 森川ほしの)

※この記事は2015年02月14日に公開されたものです

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