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電動アシスト自転車はお得か?「時速24kmで、普通の自転車に化す」

ママに人気の電動アシスト自転車。最近はチャイルドシート標準装備の「子供乗せ自転車」も登場し、送り迎えが楽しくなったに違いない。

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電動アシスト自転車は、本当にお得なのか? 重い荷物を積んだときでもモーターのおかげで楽々こぎ始められるが、スピードが上がるにつれて恩恵は薄れ、時速24km超では単なる重い自転車に変わってしまう。

スタート~低速走行に焦点を合わせるなら、高価な電動アシストではなく、超・ローギアードな自転車の方が、安くて軽量になりそうだ。

本領発揮は時速10kmまで

1993年に登場した電動アシスト自転車は、当時は大きな補助力が得られなかったが、2008年に改正され、より強い力を得られるようになった。モーターが補助する割合と速度を比較すると、

・旧基準 … 時速15kmまではこぐ力の1倍、時速24kmでゼロ

・新基準 … 時速10kmまではこぐ力の2倍、時速24kmでゼロ

この改正ではっきり分かることは、どれだけ速く走れるかではなく、スタート~低速走行をラクにするのが目的だ。これを裏付けるかのように、2009年7月からは、前後に子供をのせた3人乗りがOKになった。つまり、幼稚園などへの送り迎えや買い物を視野に、ママの負担を軽減するために改正されたと言えるのだ。

実際に乗ってみたところ、スタート時のひと漕ぎで2~3m押し出されるような感覚で、誰かのいたずらでつき飛ばされるような印象を受けた。これなら子供2人に買い物荷物を積んでも、確かに楽だ。

ただし、モーターやバッテリーを搭載しているので、重くなるのは避けられない。転倒させてしまったときの負担も考慮すべきだろう。

大手スーパーのオリジナル自転車(26インチ)の税抜き価格と重量を比較してみよう。いずれもシティサイクルと呼ばれるオーソドックスなモデルだ。

1. アシストなし・変速機なし … 16,000円前後 … 17.3kg

2. アシストなし・6段変速 … 20,000円前後 … 19.9kg

3. アシスト付き・3段変速 … 120,000前後 … 33.3kg

3.は、省エネモードなら50kmも走れる大型バッテリーが売りなので、モーターも相まって重量増は理解できる。ただし1.の2倍、変速機付きの6割以上も重いのは、扱いやすいとは言いがたい。

スタートや坂道がつらいのは、モーターの力を借りなくても、ペダル側のギアを小さくタイヤ側を大きくすれば改善できる。極端な例として1:2の比率にすれば、2回こいでタイヤが1回転となるので、大きな力が出せる。

発進と坂だけに絞るなら、超・ローギアの変速機のほうが軽いだけ得では?と思える。

速く走るのは苦手?

速く走りたいひとにはどうか? これも残念ながら買いとは言いえない。時速24kmを超えるとモーターの恩恵はまったくないどころか、重い分だけかったるい自転車になってしまうからだ。

原付バイクの制限速度は時速30kmなのに対し、自転車はなんと60kmまで法律で認められている。もちろん、その道路の制限速度を超えれば違反だが、50~60km道路なら原付を追い越し、流れに沿って走れるのも自転車の魅力である。

つまり、シーンは限られるものの、トレーニングを兼ねた早朝の自転車通勤や、休日のツーリングが目的なら、重い電動アシストは足かせとなってしまう。ママには魅力が多いのは確かだが、シーンによっては単なるお荷物になりかねないので、流行りよりも目的を見定める必要があるだろう。

まとめ

・電動アシスト自転車が本領発揮するのは、スタート~時速10kmまで

・時速10kmを超えると、アシスト率が下がる

・時速24kmで、普通の自転車に化す

・倍ほど重いので、かえって疲れる場面もある

アシストと称して、こがずに走れる「ペダル付き電動自転車」が出回っているが、公道を走ると違反になるのでご注意を。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年04月20日に公開されたものです

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