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恋人たちのデートスポットは自然の中!?「何もしない」ノルウェーのデート事情

ノルウェー人のシーリさんの週末デート先は、リーセフィヨルドの有名な崖プレケストーレン Photo:Siri Aarstadvold

ノルウェーには、日本にあるような、ディズニーランドなどのアトラクションやカラオケ、ラブホテル、縁結びスポットという場所はほとんど見当たりません。では、レストランや映画館のほかに、一体どこでデートをしているのでしょうか?

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北欧の中でも、特に大自然に恵まれているノルウェーでは、国民と自然との距離が近く、恋人たちのデートスポットもその中にあるようです。

「フリルフツリヴ」という自然との付き合い方

ノルウェーやスウェーデンには、「フリルフツリヴ/Friluftsliv」という「自然と共存し、アウトドア・アクティビティやスポーツを楽しむ」という考え方があり、人々は今もこの哲学を実行しています。

ノルウェーの首都・オスロに住むリン・アンデルセンさん(28)も、恋人と一緒にキャンプやハイキング、サイクリング、登山をすることが欠かせない習慣となっているそうです。

恋人と一緒にサイクリングを楽しむノルウェー人のリンさん(右) Photo:Linn Andersen

ノルウェーでは「散歩に行こうか」という表現がよく使用されますが、これは日本人が想像する「近くの公園をてくてく歩く」ものとは大きく異なります。ノルウェー人の散歩は、日本人からすると「エクササイズ」、「早歩きでウォーキング」、「気軽な登山」に。

週末は森でキャンプをすることもあるというリンさん。写真は彼氏が撮影 Photo:Linn Andersen

もし、ノルウェー人の恋人ができて、「散歩に行こうか」と誘われたときは、華奢なハイヒールではなく、スポーツシューズを履くことをおすすめします。

ノルウェー第3の規模の町・トロンハイム周辺の村に住むシーリ・オールススタヴォルさん(30)は、恋人と一緒に、平日は散歩、週末は遠くの山へと出かけるそう。

「彼氏と一緒に自然の中にいると、いい運動にもなるし、日ごろの疲れを忘れてリラックスできるの。彼との会話の時間も大事にできるわ」と語ります。冬は雪の森を散歩、とある夏の日は、観光地5大フィヨルドで有名なリーセフィヨルドの崖プレケストーレン登山を楽しんだそうです。

冬は恋人と一緒に森の散歩を楽しむという、ノルウェー人のシーリさん(左) Photo: Siri Aarstadvold

夏はバーベキューや釣り、冬はスキーを楽しむことも

夏になると、ノルウェー人はいたるところで水着姿になって日光浴を楽しみます。湖、公園、フィヨルドのある屋外でバーベキューをしながら、ソーセージやアイスクリームを味わいます。

また、「自然の産物はみんなのもの」という自然共有権があるノルウェーでは、山々での植物採取も、特に厳しい規制はなく自由。夏はベリー狩り、秋はキノコ狩りを楽しむ人が続出します。魚釣りを好む人も見られ、野生のノルウェーサーモンが採れたときの喜びはひとしおです。

冬はまた別の楽しみ方があります。「ノルウェー人はスキー板を履いて生まれてくる」という言い伝えもあるほど、ノルウェー人はスキーが大好き。冬季のスポーツ大会でもノルウェーはメダルを量産します。そんなノルウェー生まれの恋人たちは、冬はクロスカントリースキーなどを楽しみます。

湖や森の周辺を歩いていると、仲良さそうに一緒に散歩をしている老夫婦の姿もよく見られます。「松葉づえがスキーストック」(!)というのもノルウェーらしいところ。

週末は山小屋デートが定番

ノルウェーには先祖代々から受け継がれる「ヒュッタ/Hytta」という山小屋(別荘)を持つ人々がたくさんいます。ヒュッタの形状はさまざまですが、昔らしい建物は、水も電気もない、日本では「ぼっとん便所」といわれるくみ取り式トイレという建築設備。

ヒュッタには、「大人数でわいわいと行く」よりは、親しい人たちと少人数で行きます。登山やスキー、テーブルゲームを楽しんだり、大好きなディズニーのキャラクター「ドナルドダック」の漫画を読んだり、ぱちぱちと燃える暖炉の前で読書をしたり。

特別なことはせずにリラックスして過ごします。

恋人同士でヒュッタに行っても、ロマンチックなサプライズが連続することはなく、ゆったりとした時間を過ごすのが定番。多忙なスケジュールをこなす日本の現代人にとっては、仰天の過ごし方かもしれませんね。現地に遊びに行った際は、「何もしない」ノルウェー流のデートを体感してみるのもおすすめです。

●文・写真 鐙麻樹

著者プロフィール

鐙麻樹(あぶみ あさき)。上智大学フランス語学科2008年卒業。オスロ大学メディア学学科2012年卒業。同大学大学院メディア学修士課程在学中。ジャーナリスト、フォトグラファーとして、雑誌、WEB、旅行ガイドブックを中心にノルウェー現地から数多くの原稿や写真を寄稿。6カ国語の海外ニュース翻訳家、メディア/企業コーディネーター兼アドバイザーとしても幅広く活動中。
ホームページ http://www.asakiabumi.com/
All Aboutノルウェーガイド http://allabout.co.jp/gm/gp/1080/
地球の歩き方オスロ特派員ブログ http://tokuhain.arukikata.co.jp/oslo/

※この記事は2014年04月10日に公開されたものです

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