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宇宙戦艦ヤマトが向かった「イスカンダル」はどこにあるの?「地球からは16万光年ほど離れたところにある」

宇宙戦艦ヤマト。地球侵略を狙う謎の異星人、青い顔が印象的なデスラー総統が率いるガミラス帝国の攻撃から地球を救うために、宇宙戦艦ヤマトが向かったとされるのが惑星「イスカンダル」です。

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ということで、今回はそのイスカンダルに向かってみましょう!

惑星「イスカンダル」がある場所とは…

もちろん、イスカンダルというのは宇宙戦艦ヤマトに登場する架空の惑星ですので、実際に存在するわけではありません。ですが、物語の中では「大マゼラン雲」の中にある地球によく似た惑星という設定になっています。

大マゼラン雲という名前も、あまり聞いたことはないと思いますが、こちらは実在しています。地球からはぼんやりとした雲のように見えることから、このように名付けられました。

かじき座とテーブルさん座の間にある大マゼラン雲は、0.9等級の明るさを誇っているため、月明かりが少なければ肉眼でも十分に観測できます。しかし、主に南半球で見られる天体であり、残念ながら北半球からは(赤道に近い一部地域を除いては)見ることができません。

余談ですが、「イスカンダル」という単語は、紀元前に活躍したとされるマケドニアの英雄「アレキサンダー大王(Aliskandar)」を意味するアラビア語・ペルシア語に由来しています。

大マゼラン雲の正体

「マゼラン」と聞くと、世界史に詳しい方はピンと来るかもしれません。

そう、大航海時代にあたる16世紀に活躍したポルトガルの航海者「フェルディナンド・マゼラン」です。

人類史上初の世界一周を成し遂げたスペイン艦隊を率いたマゼランは、スペインを出発した後、南半球を航海している途中の1519年に、夜空に浮かぶ雲状の天体を記録に残しました。この天体こそ、現在の大マゼラン雲です。

(なお、南半球に住む現地の人々は、はるか昔から知っていたとされています)

大マゼラン雲は、「雲」という言葉で表現されていますが、実際には私たちが住んでいる銀河系と同じような銀河の1つで、地球からは16万光年ほど離れたところにあります。太陽の周りを地球が公転しているのと同じように、銀河系の周りを公転している銀河の1つであると考えられており、このような銀河を総称して「伴銀河(ばんぎんが)」と呼びます。

16万光年というと、光の速度でも16万年かかる距離ということになりますので、すごく遠い印象を受けるかもしれません。しかし、現在発見されている中では、「おおいぬ座矮小(わいしょう)銀河」、「いて座矮小楕円銀河」に次いで、地球からは3番目に近い銀河なのです。

大マゼラン雲と小マゼラン雲

マゼランは、大マゼラン雲のほかにも別の銀河を発見しています。それが「小マゼラン雲」です。
その名のとおり、地球から見ると大マゼラン雲よりも小さく見えます。なお、この小マゼラン雲も、大マゼラン雲の近くに位置するため、やはり日本から見ることはできません。

地球から見ると、きょしちょう座の方向のおよそ20万光年先にある銀河で、こちらも大マゼラン雲と同じように銀河系の周りを回っている伴銀河であると考えられています。

ちなみに、大マゼラン雲や小マゼラン雲からは、銀河系を覆っている高圧ガスの影響によって、大量の水素ガスが放出されています。このガスの流れのことを「マゼラニック・ストリーム(マゼラン流)」と呼んでいますが、ちょっとSFっぽくてカッコいい響きであるためか、宇宙戦艦ヤマトの中でも登場しました。

まとめ

地球の危機を救うため、沖田艦長率いる宇宙戦艦ヤマトが目指した惑星「イスカンダル」は、地球から遠く離れた大マゼラン雲という銀河の中にありました。さらに、その近くには小マゼラン雲と呼ばれる銀河もあって、どちらも私たちがいる銀河系の周りを公転している伴銀河であると考えられています。

地球から比較的近い銀河ではありますが、この距離をわずか1年で往復したヤマトはやっぱりスゴイですね~。

(文/TERA)

●著者プロフィール
TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年03月23日に公開されたものです

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