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近年増加する、うつやイライラで悩む女性。もしかしたらPMDD(月経前不快気分障害)かも!?

問い詰める女性「最近職場ですぐにもめごとを起こしてしまう」「彼氏とけんかばかり」……そんな悩みは、女性ホルモンと関係があるのかも。PMS(月経前症候群)は、月経前に3~10日ほど心身の不調が続き、月経とともに不調が消失あるいは減退する病気ですが、最近は精神的な症状が強く出る女性が増えている傾向があるのだそうです。

女性の半分は経験がある月経前の不調

PMSは、女性の50~80%が悩んでいるといわれる身近な症状です。症状はさまざまで、200~300種類くらいあるという報告も。なかでも身体的症状で最も多いのは、腹痛や乳房を圧迫したときの痛み、腰痛、頭痛・頭重感などで、精神的な症状ではイライラ、怒りっぽい、眠気、抑うつ感がよく見られます。

精神的な症状が増えている理由について、渋谷文化村通りレディスクリニック院長の入江琢也医師はこう話します。
「過酷な条件で働いている女性が増えた、という社会的な背景があると思います。労働環境が悪い中で心身にストレスがかかり、それが女性ホルモンの関係で月経前に不調となって現れるのでしょう」

イライラや怒りっぽいなどの精神症状が増加

PMSほど頻度は高くありませんが、PMDD(月経前不快気分障害)という、精神的な症状がより強くて月経前に感情のコントロールがきかなくなる病気があります。具体的には、やたらと攻撃的になったり涙が止まらなくなったり、無気力、絶望感にとらわれるといった症状が起こります。
実は最近増えているのが、PMSよりは精神的な症状が強いけれど、このPMDDほど重症ではないという、中間の症状に悩む女性だそうです。

「精神的な症状が強い場合、周囲に影響を及ぼして会社を辞めざるをえなくなったり、恋人と別れざるをえなくなったりすることもあります。このため月経前に不調があり、それが日常生活に支障をきたすレベルであれば、医療機関を受診しましょう。自覚がなくても、周囲の人から『最近の○○さん、おかしいけれど大丈夫?』などと指摘されたら、受診することをおすすめします」(入江医師)

症状が月経前に強くなるなら婦人科へ

女性の半分近くは感じたことがある月経前の不調ですが、実際に治療を希望する、もしくは治療の必要があると診断される人は、3~7%程度にしかすぎません。不調に気づいていても、どこを受診していいのかわからないという人も少なくないのではないでしょうか。特に精神的な症状が強い場合、うつ病とも似ているため、心療内科や精神科を受診する人も多いようです。入江医師は受診する診療科について、こうアドバイスします。

「スケジュール帳に毎日、症状の有無や程度を約1カ月間記入してみてください。症状が月経前に強く出るようであれば、PMSやPMDDの可能性が高いので、婦人科を受診することをおすすめします。そうした規則性がなければ、心療内科や精神科の受診を検討してください」

症状によって異なる治療

PMSやPMDDの原因は、実はまだ明らかになっていません。しかしPMSの場合、排卵を抑制する低用量ピルの服用で約60%は2~3カ月の間に症状が軽減するようです。軽症の場合は、有酸素運動を取り入れたり、カフェインやアルコールを控えたりといった生活習慣の改善だけで効果が出ることも。PMDDの場合は、うつ病の治療でも使われる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)で60~90%の人に効果が出るとされています。

イライラして人にあたってしまい、自己嫌悪に陥る……そんな人はまず、自分の症状を記録することから始めてみましょう。月経前の不調に悩んだら、自分の労働環境などを見つめ直すいいチャンスかもしれません。

(取材協力:入江琢也、文:中寺暁子)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2014年03月18日に公開されたものです

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