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「ニセモノの生理」に騙されてない? 生理不順の真実とは

◆生理
―「年々生理が重くなる。生理不順 = 妊娠力が低いということ?」(34歳)
「生理が年々重くなるということは、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症がないのか心配です」

―「私は無月経(生理が起きない)で薬をもらって生理をおこすのを延々繰り返しています。こんな治療法でいいのか、またそもそも無月経の原因はなんなのか」(35歳)

「『無月経』というのは、すなわち排卵障害ということです。排卵が起きないから、生理が起きません。無月経というのは、妊娠するカラダという視点から考えれば、生理がないことが問題というよりも、排卵がないこと、つまり排卵が障害されているのが問題なんです。

薬で起こさせている出血は『見せかけの生理』で本当の生理ではありません。しかし、無月経の方に、『見せかけの生理』を薬を使ってでも起こすことはとても大切なのです。

それは、無月経や生理周期が38日を越えるような稀発(希発)月経の方は、将来、子宮体がん(しきゅうたいがん)にかかるリスクが高いので、それを防ぐために必要だからです。

子宮体がんのリスクは、エストロゲンというホルモンにさらされることによって生じます。エストロゲンは生理周期の間、排卵の前も後もずっと出続けますが、排卵後にはプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが分泌されます。また、妊娠すると、妊娠中もプロゲステロンは分泌されます。子宮体がんのリスクは、エストロゲン1種類にさらされているとリスクが高まります。したがって、排卵がなかったり、妊娠しなかったりすると、エストロゲンにだけさらされることになるのです。その分、子宮体がんのリスクにさらされ続けます。

point 黄体ホルモンとは、排卵のあとだけ卵巣から分泌されるホルモン。妊娠すると、出産するまで分泌され続けて妊娠を維持させる

*参考記事*
丸わかり! 妊娠に役立つホルモンの働きとは? https://woman.mynavi.jp/article/130603-029/

無月経の治療には、

(1) 生理を起こさせる薬を繰り返す
(2) または、ピルで見かけの生理を定期的に起こさせる

このどちらの方法でもかまいません。しかし、どちらにしても排卵障害そのものを治しているわけではありません。

では、将来的に妊娠を希望したら、不妊治療をすれば妊娠できるのではと期待される方も多いと思いますので、排卵障害における不妊治療についてご説明します。

不妊治療というと、不妊の原因を取り除いて自然に妊娠することを指すと思う方が多いのですが、多くの場合はそうではありません。不妊原因がわかったら、医療で補い妊娠すること、それが不妊治療なのです。

つまり、たとえば排卵しない人に排卵するカラダになるように治療するのではなくて、排卵障害があるのだったら、排卵障害があっても排卵するような薬物(排卵誘発剤)を投与するのが不妊治療です。

そのため、いま妊娠の希望のない人に排卵障害の治療(排卵誘発剤の投与)をすることはありません。妊娠しないいまは、将来のがんを予防することを目的として、規則的に出血を起こす治療がなされます。だから、規則的に出血を起こさせる手段として、出血を起こさせる薬を服用するか、あるいは、ピルを飲むか、という選択肢になるのです。妊娠しやすいカラダになるために、排卵障害を治すことを見込んで治療するということではありませんので、ご注意ください(それが確実に行える治療があればいいと思いますが……)。

>(次ページ)排卵障害があっても妊娠できますか?

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