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【新連載】おれんち泊まれば? 10年ぶりの再会は急展開をむかえ……

Story4 ★バイブレーション

ふと時計を見ると、12時半になっていた。
「シャワーでも浴びてこようかな」
独り言を言ってベッドから降りた時に、
バッグからスマートフォンの振動が聞こえてきた。

きっと友人の誰かからの電話だろうけど、
どこかで啓太からかも、と期待している自分が悲しい。
おそるおそるスマートフォンを取り出す。
……啓太からの電話だった。
「もしもし」
怒り6分と喜び4分で怒りが勝った分、声が低くなる。
「茜だよね。啓太です。
急な出張でさ、今ね……ブラジルにいるんだ」
「うそ、驚いた」
「おれもすごく驚いてる」
だんだん、うれしさが込み上げてきた。
別にどうでもいい訳じゃなかったんだ。
でも、少しぐらいは文句を言いたい。

「……ちょっとぐらい、連絡してくれてもいいのに」
「いや、すまん。謝る。
火曜日いつも通り会社に言ったら、上司から
『今すぐブラジルに行ってくれ』って言われてさ。
着替えから何から、全部空港で買って、飛んで、
国際電話もどうかけるのか知らなくて。
……でも連絡待っててくれたなら、すごくうれしい」

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