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30秒で電池を充電できる?「スーパーキャパシタ@25,000円」

画像はイメージ

携帯やスマートフォンに欠かせないバッテリー。性能は日々向上しているものの、充電の煩わしさからは未だ解放されない。

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もっと短時間で充電できる方法はないのだろうか?主流のリチウムイオン電池は過剰なエネルギーを与えると発火や爆発の恐れがあるので、無理な急速充電は禁物だが、スーパーキャパシタと呼ばれるコンデンサを使えば何とかなりそうだ。

燃える電池

電池は化学変化で電気を起こす部品で、使い捨ての一次電池と充電可能な二次電池に分かれる。二次電池には自動車に使われる鉛蓄電池や、電動シェーバーなどに使われるニッケル水素電池などの種類があり、スマートフォンやノートパソコンでは小型で容量の大きいリチウムイオン電池が主流になっている。

種類によって回数は異なるものの、300~1,000回程度は充電して再利用できるので、予備を持ち歩く必要がないのは有り難いのだが、充電時間の長さがネックで、電池に負担がかからない方法では12~14時間かかるものもある。そのため多少電池の寿命は短くなるものの、急速充電が重宝されているのだ。

急速充電の場合、流す電流を増やすのが定番で、鉛蓄電池では標準充電の3倍ぐらいが一般的だ。容器に水を入れるようなイメージが強いものの、充電の際も化学変化が起きるので、例えるなら水を水素と酸素に分解して貯蔵するように、変化に時間を要する。

そのため電流を増やしても時間短縮には限界があり、リチウムイオン電池に規定を超える電流を流すと、発火や爆発する危険があるのだ。

携帯電話やスマートフォン内には専用の充電回路があり、バッテリーに合わせた管理がなされているので心配ないが、他の充電器につなぐと過剰な電流が流れる恐れがあるので、専門知識なしでは絶対におこなわないで頂きたい。

スマートフォンや携帯端末は、USBタイプのACアダプタで充電するのが一般的だが、大容量のACアダプタを使えば速く充電できるのだろうか?答えはNoで、製品によって差はあるが一般的には1,000mAhが上限で、これ以上の電流を与えても内蔵の充電回路で抑えられてしまい、バッテリーには供給されない。つまり、メーカーが用意した急速充電を上回る方法は、事実上ないのだ。

急がば回れ。電池が燃えてしまったら元も子もない。

45万円の電池

電池と名のつくものは、充放電に化学変化がつきまとうので、どちらも急速におこなえない。さらなるスピードを求めるなら、電気を電気のまま保存すれば良い。これがキャパシタだ。

日本ではコンデンサと呼ばれるのが一般的で、電解コンデンサやセラミック・コンデンサなど、用途によって種類が異なり、多くの電気を蓄えたいなら電解コンデンサ、さらに容量を求めるならスーパーキャパシタとも呼ばれる電気二重層コンデンサが最適だ。

スーパーキャパシタの内部には活性炭とイオン性溶液が含まれ、その境界面にプラスとマイナスの電荷が集まる仕組みで、磁石のように互いに引き寄せられているだけなので、充電も放電も高速におこなえる。アメリカの高校生がこれを利用し、30秒で充電できる電池を作ったことが話題になったが、厳密に言えば電池ではないことをお忘れなく。

手元のスマートフォンに使われている3.7V・2,000mAhのバッテリーをスーパーキャパシタで再現するとどうなるのか?バッテリーは放電容量(mAh)、キャパシタはF(ファラッド)で表される静電容量なので単純に比較できない。そこで共通の単位J(ジュール)に換算して比べてみよう。

バッテリーは3.7V×2,000mAh×3,600(秒)=26,640Jなのに対し、秋葉原で見かけた2.5V・1,900Fは1,900(F)×2.5(V)×2.5(V)÷2で5937.5Jと、エネルギーだけを比較すればおよそ4.5本必要なことが分かる。

ただし電圧が足りないので、キャパシタを2本直列で補うことになるが、容量が半分になってしまう性質があるのでさらに本数を増やす必要がある。2本直列×9組並列につなぐと26,718Jとなり、ようやくバッテリー並になる。

ちなみにこのスーパーキャパシタは@25,000円なので、18本使うとしめて45万円なり。しかも1本が直径51mm・長さ135mmもあるから、初期の肩掛けタイプの携帯電話になってしまう。肩掛け携帯で急速充電。ムダの美学を求める方には、ぜひともチャレンジして頂きたい。

まとめ

スーパーではないが、2枚のアルミホイルで料理用ラップをサンドイッチするだけで、キャパシタを作ることができる。

大きく作ってもLEDが一瞬点灯するぐらいの容量しかないが、余興にでも使っていただければ幸いだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年09月04日に公開されたものです

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