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耳掃除注意報発令! 耳かきで鼓膜をこすってしまっている人が意外と多い事実

自分の目では見えない耳の中。耳掃除はしているけれど、果たして本当に耳あかを除去できているの? 耳掃除のしすぎも、かえって耳を傷つけそうで怖いです。とはいえ、ネットで耳あかがたまると頭痛やめまいの原因となると見かけたし……。

そこで、加賀耳鼻咽喉科クリニックの加賀達美先生に、耳掃除のやり方、道具、頻度、注意点などについて教えていただきました。

●それは、耳あかの音ではなく、鼓膜がこすられる音

――ネットで耳あかをためすぎると耳あか栓塞(じこうせんそく=耳あかで耳穴がつまる)状態になって、頭痛やめまいを引き起こすと見かけました。本当ですか?

「いいえ。耳あかのたまりすぎが原因で、頭痛やめまいが引き起こされることは、まずありません。耳あかによる耳の病気といえば、そのほとんどが不適切な耳かきが原因です。

耳のかき過ぎで小さな傷ができると、細菌やカビの感染が起こり外耳炎になってしまう方が少なくありません。人によっては、傷が原因となって剥がれたかさぶたを『耳あかが増えた』と勘違いして、さらに悪化させる方もいます」

――そうだったのですね。では、耳掃除をするときの注意点を教えてください。

「耳穴に触れないように耳かきや綿棒(以下「綿棒」で統一)を1.5cmほど入れて、耳の皮膚に綿棒をつけた状態で、引き抜きながらかきだすようにしてください。綿棒を入れるときから耳あかに触っていると、耳の奥に耳あかを押し込んでしまうこともあるので注意してください。

耳あかは、外から1~1.5cmくらいからしか出ませんので、それ以上奥に、耳かきを入れる必要はありません。耳掃除の頻度は、2週間に一度くらいでよいです」

――1~1.5cmですか。もっと奥に大きな耳あかが落ちているのを感じるときもあるのですが……。

「2センチくらい綿棒を挿入すると、『急に大きなガサガサ音がする』という方が少なからずいらっしゃいます。それを大抵の方は、『大きな耳あかがあるようだ』と思われているようです。しかし、それは『大きな耳あか』ではなく、鼓膜を直接触っている可能性が高いです。

鼓膜は耳穴の入り口から約2.5cmにあり、意外と簡単に触れます。電源が入ったマイクをガリガリ擦ったような音を聞いたという方は、鼓膜を直接綿棒で触っているかもしれないので、一度モニターで鼓膜を見せてくれる耳鼻科または耳かきサロンで診察を受けてください」

なんと! 鼓膜ですか。……私、思い当たる節があります。

●おみやげ屋さんの耳かきが合うのは全体の3割

――使用する耳かきは、お土産屋さんやコンビニで見かける一般的なタイプで大丈夫ですか?

「残念ながら、昔ながらの耳かきがご自分の耳あかのタイプに合っているという方は、3割くらいの人ではないでしょうか。また、一般的な太さの綿棒(幅が4~5mm)は、外耳道が細い方ですとかえって耳あかを奥に押し込んでしまう場合もあります。人によってはベビー用の綿棒(幅が2~3mm)を使用するのがお勧めです」

――自分に合った耳かきを見つけるにはどうすればよいのでしょうか?

「一度、耳鼻科で診てもらうのが理想的なのですが、保険診療の都合上、『耳あかはあるか』『外耳道の太さや形状を知りたい』だけではなかなか診てもらえないかもしれません。

耳が痛くなったり、耳あかで聞こえが悪くなったときに耳鼻科をご受診なさるか、耳の中をモニターで見せてくれる耳かきサロンで、一度ご自分の外耳道を見せていただいてください。今は、東急ハンズやロフト等でさまざまなタイプの耳かきが手に入るので、いろいろと試してみるのもよいかもしれません。

また、使用後の耳かきをそのままペン立てに入れたりする方が多いのですが、これは雑菌が発生する原因になるので、絶対にやめてください。耳かきは、使用後にアルコールが含まれたウェットティッシュなどで拭いたり、殺菌成分を含んだソープで洗って、清潔に保ってください」

――わかりました。最後に、読者へメッセージをお願いいたします。

「耳の穴は人によって、そのサイズ、奥行き、そして曲がり具合など、千差万別です。ご自分のタイプを知って、適切な綿棒または耳かきで掃除をしていただきたく思っております」

耳の形や耳あかのタイプは一生もの。なるべく、自分に合った道具で、丁寧にお手入れをしたいと思いました。加賀先生、どうもありがとうございました。

取材協力:加賀耳鼻咽喉科クリニック 加賀達美先生
http://www.kaga.min.gr.jp/

(取材協力:加賀達美、文:臼村さおり/OFFICE-SANGA)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2013年09月03日に公開されたものです

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