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【あの人のライフプラン:井上晴美編】40歳を前に、今振り返る。華やかな芸能界から、土に根差した農業生活へ

井上晴美さん中学を卒業して15歳で芸能界デビューした井上晴美さん。本人いわく「イケイケ、ゴーゴー!」な20代を送ってきた一方、40歳を目前にした現在は、地元の熊本で田舎暮らしをしながら3人の子育てに励んでいます。そんな井上さんにこれまでを振り返り、ライフプランについて語ってもらいました。

――20代のころは、どんなライフプランを思い描いていましたか?

好きなことをしていたので何をしても楽しく、おかしくて、バラ色の毎日でした。なので、ライフプランどころか結婚にも興味がなかったですし、家に入って落ち着くなんて考えてもいませんでしたね。

今、こうして田舎で子育てしているなんて、まるで逆立ちしているみたい。まわりの誰も想像していなかったし、自分でも別人になったみたいです。

――生活が変わるきっかけは、何だったのでしょうか?

留学先のカナダで外国人の夫に出会い、結婚して子どもができたことですね。一番上の子どもが生まれたときに、彼が自然の中で子育てをしたいと考えて東京を離れたんです。自給自足の生活をして、作物がどうやってできるのか、都会じゃわからないことを、農業をしながら学ばせようと思いました。

引っ越すことには不安もありましたけど、「私の仕事どうするの?」って夫に相談したら「それは君の話でしょ。子どもの話をしてるの」って言われたんです。もう自分ひとりではないですから、「こういう仕事だから都会にいなきゃいけない」じゃなくて、「仕事のときだけ東京に行けばいいかな」って思いなおしました。

でも、最初に住んだ長野の家は、歩いて行けるコンビニも、街灯もない山の中だったので、慣れるまではやっぱり戸惑いましたけどね(笑)。

――今の生活に満足していますか?

欲を出したらきりがないけれど、子どもの幸せが一番だと思えるので満足しています。子どもを預けて仕事をすることは簡単だけど、その瞬間がもったいないじゃないですか。子育ては二度とやってこないですからね。子どもは母と一緒にいたいと思っているし、母を必要としているうちは一緒にいてあげたいと思っています。

それに農業をしていると、自然にはいろんな形があることに気付きます。人工的な世界は角ばっていて、変化がないですよね。

――ライフプランをテーマに読者にアドバイスをお願いします。

結婚しないと思っていた私が結婚して、仕事よりも子育てを選んだように、そのときそのときの状況で、川の流れのように生きていいと思います。

何歳までにこうする、自分はこうじゃなきゃだめだと決めつけると、そうならなかったときに生きていけなくなるじゃないですか。だから、これしかないという考えにしがみつくより、AがだめならBもCもある、と思える柔軟性が必要だと思います。

そのためにはいろんな経験や知識を身につけて、視野を広げることですよね。いくつになっても「学び」の姿勢を大事にしてほしいです。

華やかな芸能界から、土に根差した生活へ。その決断には相当の勇気と苦労があったと思いますが、話しぶりにはそれ以上に、一人の母としての覚悟や今の生活の充実ぶりがにじみ出ていました。

「人生設計を考えるより、状況に応じて柔軟に」というアドバイスは、そんな大きな転機を乗り越えた井上さんだからこそ出てきた言葉だと思います。「子どもに手がかからなくなったら、少しずつ仕事を始めたい」という、井上さんの今後のキャリアにもぜひ、注目したいです。

いのうえ・はるみ 1974年生まれ、女優。田舎での生活や子育てについてつづるブログ「vida simple」(http://inoue-harumi.kirei.biglobe.ne.jp/)を更新中。

(OFFICE-SANGA)

※この記事は2013年08月29日に公開されたものです

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