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雑学 ヘルスケア全般

眼科専門医に聞く。使い捨てコンタクトレンズの使用期間を守らなかったらどうなるの?

年々、使用者が増えている使い捨てタイプのコンタクトレンズ(以下、レンズ)は、ケアが簡単で便利になった一方で、目のトラブルも絶えないと聞きます。

【眼科医に聞く。カラーコンタクトレンズのトラブルを避けるには?「雑貨屋で買わない」】

筆者も使用していますが、1カ月使い捨てタイプを取り替えるのを忘れてしまい、3カ月ほど使っていたことがありました。

使用期間を守らなかった場合、目にトラブルが起こるのか、起こるとすればどのようなトラブルなのか、眼科専門医でみさき眼科クリニックの院長・石岡みさき先生に話を聞きました。


■1日使い捨てタイプのレンズは、こすり洗いができない薄さ

――使い捨てレンズの期間を守らなかったことがあります。目にどのような影響がありますか?

石岡先生 問題はレンズの「薄さ」にあります。コンタクトレンズは、それぞれ決められた期間に耐えられる薄さでできています。装着する、外すを繰り返すうちに品質が劣化し、酸素透過性や保湿機能が落ちます。その結果、目に傷が付きやすい、見えにくいということが起こります。

特に気を付けるべきは、1日使い捨てタイプのレンズです。

――1日使い捨てタイプは割高なので、節約のために2日以上使っている人がいるとよく耳にします。

石岡先生 1日使い捨てタイプは、一度外した後に再度装着することを想定して作られていません。触っていただくと分かると思いますが、ペラペラの薄さで破れやすく、こすり洗いには耐えられません。

こすり洗いをせずに、保存液にだけつけて翌日また使う人もいますが、汚れたレンズを目に入れることになり、感染症の原因となります。

感染症の症状としては、充血や目やに、まぶしさや目の痛みなどです。緑膿菌(りょくのうきん。自然環境中に存在する代表的な常在菌の一種)やアカントアメーバ(アメーバの一種で土壌に住む微生物。一部の種が感染性を持つ)に感染すると重症化します。

特に緑膿菌は進行速度が早く、角膜に穴が開くことも珍しくありません。アカントアメーバは、ほとんどの場合、感染が治まった後も角膜に濁りが残り、目が見えづらくなります。最悪の場合は失明することもあります。

――外さずに使い続ければ、2日間でも耐えられますか?

石岡先生 外したレンズを洗わずに翌日また目に入れるよりは、2日間外さない方が目への影響は少ないと言えますが、眼科医としてはお勧めできません。

1週間外さないレンズも実在するのですが、勧める眼科医が少数のため、広まっていません。なぜなら、寝ている間はまぶたを閉じているため、目が酸素不足になりやすいからです。

レンズを装着している角膜には、空気中や涙から酸素が供給されています。長時間まぶたを閉じると酸素が角膜に供給されないため、酸素不足によって角膜のトラブルが起こる可能性が高まります。

■角膜に傷、重大な感染症で失明することも

――期間を延長して使ったことがありますが、特に目に異常は起きませんでした。

石岡先生 レンズのトラブルで受診される患者さんはみんな「今まで大丈夫だったのに」とおっしゃいます。今日、問題が起こらなかったとしても、明日も起こらないとは限りません。

2週間タイプや1カ月タイプを1日延長して使ったとしても、トラブルが起こることは少ないようです。

でも、一度使用上の注意を守らなかった人はやがて、2日、3日と期間が延びて常習化する傾向があります。コンタクトレンズのトラブルで受診された患者さんのほとんどは、使用上の注意を守らない無理な使用法をしています。

――無理な使い方を繰り返すことで、トラブルが起こる可能性が高くなるということですね。

石岡先生 自動車のスピード違反に近いかもしれません。時速60キロメートルの速度規制を破り80キロメートルのスピードを出しても、絶対に事故が起こるとは限りません。

ただし、そのたった1回で事故を起こすこともあります。また、違反を繰り返せば、事故を起こす可能性が高くなります。

コンタクトレンズは認可されている医療機器ですが、目にとって異物であることは確かです。

これまで多くの、無理な使用法によって角膜に取り返しの付かない傷を作る、また、感染症によって失明した患者さんを見てきました。その事実を知った上で、それでも「今まで問題がなかった」からと言って、その使い方を続けるのか、考えてみてください。

――はい、恐ろしくなってきました。これからは期間を守って使用します。ありがとうございました。

使用期間を守らないことで、実際に重大な目のトラブルを起こしている人がたくさんいるということが分かりました。

「自分は大丈夫」と考えがちですが、起こってしまってからでは手遅れです。必ず使用期間を守って正しい使い方をしましょう。また、もし目に強い痛みや異常を感じた場合は、すぐにレンズの使用を中止して眼科を受診するようにしてください。

(尾越まり恵×ユンブル)


取材協力・監修:石岡みさき氏。眼科専門医。医学博士。みさき眼科クリニック院長。横浜市立大学医学部卒、平成5年よりアメリカ・ハーバード大学に留学、眼の免疫の研究に従事。帰国後、東京歯科大学市川総合病院にて角膜・前眼部疾患について学ぶ。平成10年両国眼科クリニック院長。平成20年、生まれ育った渋谷区代々木上原にて「みさき眼科クリニック」を開業。専門はドライアイ、眼のアレルギー。
http://www.misaki-eye.com/

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