実はNGな煎茶の淹れ方「急須をぐるぐる回す」「急須の注ぎ口にビニールキャップを付けたまま使う」
日本人の生活の一部として、長い間お付き合いしている“日本茶”。忙しい朝や食後にお茶をすすると、どこかホッとするんですよね。日々慣れ親しんでいるお茶ですが、実は、ほとんどの人が間違った淹れ方をしているらしいんです……! そこで、NPO法人日本茶インストラクター協会・日暮さんに、勘違いしがちなお茶の正しい淹れ方を聞きました!
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●外国産のペットボトル水など、“硬水”で緑茶を淹れる
「全体の99%以上が水分の緑茶は、水によって味が大きく左右されます。水には硬水や軟水といった種類があり、お茶に適しているのはカルシウムやマグネシウムの量が少ない硬度30度~80度の“軟水”。硬水で淹れると苦味や渋味が抑えられてしまい、深みのない味わいになります。外国産のペットボトル水は、硬水のものが多いので、ペットボトル水を使うときは硬度にも気をつけてみてください」
ちなみに、日本の水道水は軟水。特別に水を買わなくても、おいしいお茶が飲めるんですね!
●熱湯のままお茶を淹れてしまう
「煎茶の場合、熱湯のまま急須にお湯を注ぐと、苦味や渋味の強い味になってしまいます」
日暮さんによれば、お茶の種類によって、それぞれ適した温度があるそう。
「一般的な煎茶は、“うま味・苦味・渋味”のバランスを楽しむもの。70℃程度のお湯で淹れると、アミノ酸やカテキン、カフェインがほどよく溶け出し、バランスのいいお茶になります。一方、ほうじ茶などは香りを楽しむお茶なので、熱湯で淹れると香りが立ちますよ」
お湯の温度によって、味も変わってくるんですね。知らなかった……! また、熱湯から温度を下げる際は、茶碗でも代用できますが、『湯冷まし』という湯を冷ます専用の道具もあるそう。
では、70~90℃くらいの沸騰する直前のお湯で淹れても大丈夫なんでしょうか?
「それはNGです。一度も沸騰していないお湯を使うと、お茶の味が水っぽくなってしまうので、必ず沸騰させてください。とくに水道水を使う場合は、消毒するために入っている塩素の臭い(カルキ臭)を抜く必要があります。カルキ臭を抜くために、ヤカンの蓋をずらして3~5分沸騰させ続けてくださいね」
お茶の香りを楽しむためにも、沸騰させるひと手間が大切なんですね。
●お湯と茶葉を入れた急須をぐるぐると回す
「茶碗に注ぐ前に急須を、回す方がいらっしゃいますが、回しすぎると、余計な渋味や雑味が出て苦渋味の強いお茶になってしまうんです」
お茶が浸出するまでは急須を静置して、注ぐ時に手首をかえしながら数回に分けて茶碗に注げば、濃度の調整ができるとのこと。
●急須の注ぎ口にあるビニールキャップを付けたまま使う
「急須を購入すると、注ぎ口の先にビニールキャップがついていますよね。あのキャップは、輸送時の破損を防ぎ保護するためのものなので、お茶の切れを良くするものではないんです。衛生的にもよくないので、キャップは取ってくださいね」
つけっぱなしにしている人いますよね! そういう仕様なのかと思っていました(汗)。
●茶筒で長期間保管する
「お茶は、湿気や臭いを吸い、酸化しやすい食品です。保存状態によっては味や香りが落ち、変色してしまいます。これらを防ぐためには、密封し、涼しくて暗い場所に保管することが大切。10日ぶんくらいの茶葉を茶筒に移し、残ったものは茶袋に入れたままで、さらに密封パックなどに入れて冷蔵庫で保存しましょう」
そして、茶筒の素材は、密封性にすぐれた金属製のものを選ぶのがベストなんだとか。保管の仕方ひとつで、おいしいお茶を飲める期間が長くなるので、実践したいですね。
そして最後に、お茶(煎茶)のおいしい淹れ方を教えていただきました!
1.まず、1人ぶんを約2~3グラム(ティースプーン軽く一杯ぶん)として、人数ぶんの茶葉を急須に入れる。お茶を淹れたい人数ぶんの茶碗を用意。
2.水道水を3~5分沸騰させ、用意した茶碗に注ぐ。そうすることで、器を温めながらお湯の温度も下げて、湯の量もはかることができる。
※茶碗に注いだ時点で、100℃のお湯は90℃くらいに下がる。好みにもよるが、70℃(上級煎茶)~90℃(中級煎茶)がお湯の適温。
3.茶碗のお湯が適温になったところで、急須に注ぐ。急須に注ぐ湯量が多すぎてあまってしまうと、その中で茶葉の成分が浸出されすぎて濃い味になってしまうので、人数分のお湯を用意するのが基本。お湯を注いだ後、1~2分ほどフタをして茶葉が8分目ほど開くのを待つ。
4.その後、人数分の茶碗に少しずつ注いでいく「廻し注ぎ」をする。3つの茶碗があるとすれば、1、2、3と少量注ぎ、3、2、1と戻りながら繰り返し注ぎ、急須の茶液を注ぎきる。そうすることで、すべての茶碗の味と量が均一になる。最後の一滴まで注ぎきったら出来上がり♪
いかがでしたか? 日本茶は私たちにとって身近な存在なので、本当のよさを知るためにも正しい方法でお茶を淹れたいですね!
取材協力
・NPO法人日本茶インストラクター協会http://www.nihoncha-inst.com/
(大貫未来/清談社)
※この記事は2013年08月23日に公開されたものです