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えっ!ジェットエンジンを自作する大学生を発見! – 筑波大学

稼働中の「バルブレスパルスジェットエンジン」。

稼働中の「バルブレスパルスジェットエンジン」。

DIYブームだといわれます。自分で犬小屋や棚を作ったり、フローリングを施工したり、水回りの補修を行ったり……。自分でやる人が増えているそうです。ですが、「ジェットエンジンを自作した人がいる」と聞くと、大抵の人がびっくりするのではないでしょうか。しかも大学生なんですよ!


●これなら自分もできるだろう!

ジェットエンジンを個人で製作というだけでも驚きですが、その人はまだ大学生なのです。ほかにもいろんなものを作っている「その人」、筑波大学 情報学群 情報科学類の菊地秀人さんにお話を伺いました。

――なぜジェットエンジンを作ろうと思ったのですか?

菊地さん YouTubeを見ていて、海外で自作している人がいらっしゃいまして……。面白そうで、自分でもできないかと思いました。私が作ったのは「バルブレスパルスジェットエンジン」というもので、これは構造がとても簡単なものなんですよ。

――設計図はどうしたんですか?

菊地さん 設計図というか構造図ですね。それをネットで見つけまして、「これなら自分でも作れるんじゃないか」と思いました(笑)。

――なるほど。で、実際に作ったわけですね。

菊地さん はい。U字型の鉄パイプがあればできるかなと。ホームセンターに行って、単管パイプ、LPガスボンベ、安い溶接機、消火器を買いまして。製作しました。

――いざというとき用に消火器を買っているのが面白いですね。

菊地さん いえ、消火器はタンク部分を材料として、ジェットエンジン本体に使っているんですよ(笑)。

――なるほど。製作を始めたのはいつぐらいですか?

菊地さん 2007年ですから……高校受験の前ですかね。

――受験は大丈夫だったんですか?

菊地さん 受験には特に影響なかったですね(笑)。

――完成までどのくらいの時間がかかりましたか? 難しくはなかったですか?

菊地さん 1年かかってないですね。構造が簡単なのでかえって難しいといいますか……。バルブレスパルスジェットエンジンは、爆発を連続して起こすことで燃焼を継続するのですが、自律して動かすのが難しいんですよ。

――自宅で作っているわけですよね? 親御さんは何も言わなかったですか?

菊地さん 特に何も言わなかったですが、ジェットエンジンを動かすとものすごい騒音と火炎が出るんですよ(笑)。近所迷惑ですよね。

●「レーザープロジェクター」に取り組んでいます!

――現在は何か作っていますか?

菊地さん レーザープロジェクターです。

――それはどんなものなんですか?

菊地さん プレゼンテーションなどで使われる、レーザーポインターを想像してください。そのレーザー発振器の先に、X軸、Y軸に動くミラーが付いていまして、このミラーはサーボモーターで動かします。

で、このサーボモーターを制御して、非常に速いスピードでミラーを動かすと、レーザー光線を振ったり、簡単な絵を描くことができます。これがレーザープロジェクターの仕組みです。コンサート会場やライブ会場などでレーザー光線を振ってる装置をよく見ますよね。

――スゴイですね。

菊地さん レーザー発振器とサーボモーターは購入してきて、これを動かすためのインターフェースボックスを自作しました。これらをコンピューターに接続し、コンピューターからレーザープロジェクターをコントロールします。

――完成したんですか?

菊地さん コンピューター用のソフトの動作が遅いんですよ。『REALbasic』で組んだのですが、この動作が遅いので……その解決がまだですね。自分のプログラミングの技量が十分でないのが問題です。

――そこまでいくともうプロの領域ではないですか?

菊地さん 実際に舞台関係者の方から、レーザープロジェクターのインターフェースボックスを作ってくれという依頼がありました。

――えっ、それはどうしたんですか?

菊地さん 作って納品いたしました。

●始まりは小学校のころの電子工作!

――菊地さんはジェットエンジンなど、さまざまなものを個人で自作していますが、こういった趣味はいつから始めたのですか?

菊地さん 小学校の時から好きでしたね。もともとは電子工作キットを組み立てることから始まっていますね。ラジオキットなども電気屋さんで買って作ったりとか。いっぱい作りましたよ。

――小学校の時に電子工作の趣味に入ったのは、親御さんなど、どなたかの影響があったのですか?

菊地さん いえ、私の両親は二人とも教師なのですが、特に親の影響ということはないですね。電子工作キットなども自分から買ってくれと親に言いましたし。要は好きだったんですね。

●中学時代には「テスラコイル」を自作!

――キットなどでなく、自分でゼロから作ったというと何が初めてですか?

菊地さん テスラコイルです。

*……テスラコイルは、ニコラ・テスラによって考案された装置で、高周波・高電圧を発生するものです。放電現象(コロナ放電)を見ることができます。

――テスラコイルというと、あのバリバリ稲妻を出す装置ですよね。いつ作ったのですか?

菊地さん 1号機を作ったのは中学生の時ですね。雷を見るのが好きなものですから、間近で放電が見られるのでぜひ作ってみたいと思いました。

――うまくできましたか?

菊地さん はい。テスラコイルって回路図自体はそんなに難しいものではないんですよ。ただコイルの物理的な配置が難しいんです。日曜大工的な難しさがありますね。

――中学生の時にテスラコイルを作ったのはすごいですね。親御さんは何か言いませんでしたか?

菊地さん 「何を作ってるんだ!?」とは言っていましたが(笑)。学祭で公開したりしましたね。

――みんなびっくりしたのではないですか?

菊地さん 驚いたと思います(笑)。

――現在、大学生なわけですが、将来はどんなことをしたいですか?

菊地さん そうですねえ。コンピューターで何かを制御する、そういうものを作りたいですね。そのためにはプログラミングの技量を向上させないといけないんですけれども(笑)。


いや驚きです! 世の中は広い。すごい人がいるもんですね。菊地さんのサイトに行くと、菊地さんがこれまで作ったものについてより詳しい情報を見ることができます。興味を持った人はぜひ訪問してみてください。

菊地秀人さんのサイト『高エネルギー技術研究室』
http://htlab.net/


(高橋モータース@dcp)

※この記事は2013年05月24日に公開されたものです

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