【必見】もし結婚しなかったら。シングル女性の老後を黒字化する方法
誰でも老後は心配なものです。「退職したら私は生きていけるのか?」と不安になることもあるでしょう。特にシングルの場合は一人で大丈夫だろうかと気になるのではないでしょうか。そういうときは計算してみればいいのです!
●シングル女性の老後は大丈夫!?
最近は晩婚化していますし、またシングルを貫く女性も増えています。結婚しなくても一人で生きていける女性が増えているということなのでしょう。それ自体はいいことですが、気になるのは「お金」です。
「マンションを買ったら、一生住むところがあるから少しは安心できるかな?」と考える女性も多いようです。そこで、「マンションを買ってシングルで生きていくぞ!」と考えた場合の「老後のお金の収支」がどうなるかを計算してみました。
シミュレーションは、FPオフィス will代表の前野 彩先生にお願いしました。前野先生はスゴ腕のファイナンシャルプランナーです。
まずシミュレーションの条件から見てみましょう。
シミュレーションの設定条件
・38歳のときに2,300万円のマンションを購入
・38歳時の手取り年収は360万円
・マンションを買う前の貯金は700万円
・住宅ローンは35年返済、金利2%
・マンションの管理費・修繕積立金は2万円、固定資産税は10万円
・生命保険(更新型)は死亡保険と医療保険に加入
・60歳で退職、退職金は1,000万円
・65歳から公的年金の受け取り開始
●老後のお金の収支はこうなる!
<現在の貯蓄シミュレーション>
結果
・退職時にはマンションも持っているし、貯金も2,639万円ある。・しかし、77歳の時点で貯金残高がなくなり、88歳ではマイナス1,676万円に!
●ファイナンシャルプランナーはこう見る!
――このシミュレーションですと、女性の平均寿命(85.90歳)までお金が持たないですね。
前野先生 そうですね。順調に貯蓄を増やしてきたはずなのに、残念ながら足りなくなってしまいました。
――この女性は、収入も良い方だと思うんですが……。貯蓄もできて、退職金も受け取れていますし。それでも老後にお金が足りなくなるんですか。
前野先生 実は、貯蓄だけに意識がいっているところに問題があるんです。
――この結果を老後のお金が足りるようにできるのでしょうか。
前野先生 できます。それが私の仕事ですね。ご提案するプランは次のとおりです。
老後黒字化のための提案プラン
・住宅ローンの繰り上げ返済を行う。
・生命保険を見直し、医療保険と個人年金に加入する。
・公的年金がもらえる年齢(65歳)になるまで雇用延長で働く。
この変更でどうなるかを見てください。
<変更後の将来の貯蓄シミュレーション>
結果
・退職時にはマンションも持っているし、貯金が2,375万円ある。・88歳の時点でまだ貯金残高が558万円ある。
●なぜ状況を逆転できたのか!?
――劇的に変わりましたね。何が原因でしょうか?
前野先生 まず繰り上げ返済です。住宅ローンは早く返してしまいましょう。2年に1回100万円の繰り上げ返済を行って利息をカットできた分が、将来の貯蓄を大きくプラスにしたのです。
――保険の変更はどう効いているのでしょうか?
前野先生 保険は「必要な保障を必要な金額だけ加入する」ことがポイントです。保険に入っている方は、その中身をきちんと分かっていらっしゃいますか? 漠然と親が勧めるままに入ったなどでしたら、一度見直してみた方が良いと思いますよ。今回の女性は、死亡保障はやめて、医療保険と個人年金保険に加入して老後の保障を手厚くしました。
●お金を「ためるとき」と「使うとき」のメリハリが大事!
――この黒字化したシミュレーションだと安心できますね。老後を黒字化するための要点はどこでしょうか?
前野先生 「使うときは使う」ということです。例えば、60歳時の貯金額は、最初のシミュレーションの方が約300万円も多いわけです。でも定年後も住宅ローンの返済が続くので、貯蓄は足りなくなります。
繰り上げ返済をすると2年に1回100万円が出ていくので、そのたびに「貯金が減る」と思うかもしれませんが、利息は減り、完済も早くなるので、貯蓄が黒字化するのです。
――なるほど。保険の見直しもそうですか?
前野先生 はい。保険を見直すことによって、毎月支払う保険料が上がるかもしれません。その場合は月々の支出が増えることになりますが、それが将来の収入を増やし、貯蓄の黒字化に貢献するのなら、見直す効果は高いのです。
つまり、「ひたすら貯蓄を増やす」だけではダメで、「使うときは使う」という気持ちの切り替えが大切なのです。
●この先もやれることがある!
――なるほど。ほかにもやれることがあるのでしょうか?
前野先生 はい。今回のシミュレーションでは節約系の話はしていませんし、運用も行っていません。収支の話になると、すぐ支出をカット、節約なんて話になりがちです。でも、人間はそんな節約ばっかりの生活には耐えられませんよね(笑)。
――確かにそうです。
前野先生 今回の女性も年間20万円を旅行費などに使っていますし、生活費などの支出をカットしないで老後の黒字化を図ってみたのが今回の計算なのです。ですから、貯蓄を増やしたい場合には、支出面の見直しや運用の工夫をすればもっと貯蓄はできるでしょう。
――そういう提案を行うのもファイナンシャルプランナーの仕事なんですね?
前野先生 はい。老後が心配だったり、何となく不安な場合など、もしも困っていたらぜひご相談ください(笑)。先のことが見えないから不安になるんですが、数字で現状が分かるとなんとかしようとするものですし、何をすれば将来安心できるのかが分かれば、不安は解消できますよ。
いかがだったでしょうか。「マンションを購入して、かつ老後を黒字化できる」と分かって勇気が出ましたか?ではいつやるのか? 今でしょ!
前野 彩先生の単行本が出ています!
・『ズボラでも大丈夫!書き込み式 一生役立つお金のキホン<第2版>』(日本経済新聞出版社より刊行)
http://www.nikkeibook.com/book_detail/16864/
・『危うくムダなお金を払うところでした』(産経新聞出版より刊行)
http://www.sankei-books.co.jp/m2_books/2012/9784819111768.html
・前野 彩先生のサイト「FPオフィス will」
http://fp-will.jp/
・前野 彩先生のマンガでわかる!ホームページ
http://www.fp-will.jp/mama.html
※……将来の貯蓄シミュレーションは前野先生に作成頂きました。
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2013年05月24日に公開されたものです