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【新連載】後輩から突然の告白! 私って意外にモテるのかも?

Story4 ★おとぎ話みたいな恋を

「え、それは……」

次の言葉がしばらく出てこなかった。

このまま銀行の車で陽介くんと逃避行、
なんてできるわけない。現実的じゃない。
だけど、心のどこかに高ぶりと期待がある。
このまま夜を走って……おとぎ話みたいな、
新しい恋と新しい暮らしを手に入れる。
車内の沈黙が、そんなすてきな想像を呼んだ。

「冗談です。すみません」
目の前の信号が赤から青に変わったとたん、
陽介くんはそう言って、車は走り出した。

「一瞬、それも悪くないかもって思った」
わたしはおどけて「ふふふっ」と、
鼻にかかった笑い声をたててみたが、
陽介くんの横顔は、苦く悲しげだった。
車は銀行の建物から少し離れた、
ビルの建設予定地だろう駐車場にとめられた。

「へんなことばっかり言って、すみません」
狭い車内で体をひねってこちらを向き、
謝る陽介くんは、少し泣きそうな顔に見える。

「いいよ。謝るようなこと言ってないでしょ」

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